ひがし北海道・道東に生息する野生動物を紹介!
見られる場所やレア度も!
公開日:2024.11.01
エゾシカ
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ひがし北海道の基本情報
北海道の東側、広大な自然が広がるひがし北海道(道東)。「日本の秘境」とも呼ばれるひがし北海道は、手付かずの自然がそのまま残っている数少ないエリアでもあります。人間が立ち入らない場所も多くあることから、数々の希少な野生動物たちが本来の姿のまま暮らしている珍しい地域。北海道といえば、のキタキツネやエゾシカ、天然記念物に指定されているタンチョウやオオワシ・オジロワシなど多種多様な動物たちを見ることができます。今回は地元民目線で、見られる動物や出現箇所をレア度順にご紹介していきます!全部見られたあなたは、間違いなくラッキー!
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注意点/おすすめの服装
北海道には数多くの野生動物が生息していますが、その名の通り彼らは「野生」のまま暮らしている動物。可愛いから、もっと近くで見たいからと安易に近づいてしまうと、生態系を壊したり怪我や事故につながってしまう危険性があります。また、観光客による餌付けにより命を落とす野生動物が後を絶ちません。決して餌付けはしないようにしましょう。一線を引いた距離で見守ることを大前提に、ひがし北海道でしか出会えない動物たちの様子を眺めてみてください。野生動物の情報は「釧路湿原野生生物保護センター」「知床羅臼ビジターセンター」で得ることができます。また、各地にある野鳥観察施設では手軽にバードウォッチングを楽しむこともできるのでおすすめです。冬の時期は凍りつくような寒さの中出歩く可能性もあるため、防寒着やスノーシュー・肌を隠せる帽子や手袋、マフラーなどの用意は万全に。
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動物紹介
エゾシカ
エゾシカ
北海道を代表する野生動物の一つが、頻繁に目撃できるエゾシカ。本州に住むニホンジカよりも体が大きく、オスの場合は最大190cm、体重150kgにもなる大型の動物です。北海道の寒さに耐えられるよう筋肉量がニホンジカの2、3倍あり、屈強とした姿が特徴です。繁殖力が非常に高いことと、近年の環境変化により個体数はどんどん増加しています。自然豊かな森や山の中で暮らしていることが多く、ひがし北海道を車で走らせればほとんどの確率で遭遇することができます。ひがし北海道には「シカ注意」の看板が至るところにあることからもわかるとおり、急に車道に飛び込んでくることもあるのでご注意を!特に活動的になる夕方〜夜の運転は、目を凝らしながら運転することをおすすめします。
また、エゾシカは古くからジビエ料理として食べられてきた貴重な食料。たんぱく質や鉄分が多く含まれ、脂質が少ないヘルシーな食材として人気です。ひがし北海道各地にジビエ料理を提供している飲食店があるほか、先住民族・アイヌの集落がある阿寒湖温泉街ではアイヌ料理とともに楽しむことができます。
1.見られる場所/時期
一年を通して見ることが出来るエゾシカですが、ベストシーズンは秋。中でも知床半島周辺では野生のエゾシカに高確率で遭遇可能。確実にエゾシカを見たい人は、斜里町にある「知床エゾシカファーム」がおすすめ。専用牧場で育てられているエゾシカを間近で見ることができます。
2.ここが見どころ!
秋のシーズンはオスのエゾシカの角が最も美しく成長する時期でもあり、オス同士の角のぶつかり合いを見ることが出来るかも。また求愛行動のために笑ったような表情(フレーメン)をすることもあり、エゾシカの可愛い一面を見ることもできます。森の中で親子連れのエゾシカがご飯を探している様子も、高確率で見ることができます。
レア度
★☆☆☆☆(頻繁に見ることができます)
キタキツネ
キタキツネ
ドラマや映画でも有名になった、北海道の代表的な動物・キタキツネ。北海道全域に生息していますが、中でも自然豊かなひがし北海道では野生のキタキツネに遭遇する確率大です。冬になるとモフモフとした冬毛をまとい愛くるしい姿になるため、見る人をほっこりさせてくれます。しかし、可愛いからといって触るのは禁物。キタキツネには「エキノコックス」という寄生虫病があるため、北海道では小学校のうちから「決して触らないように」と教育されます。可愛くてもやはり野生動物、一線を引いて鑑賞を楽しみましょう。また、湧水にはエキノコックスが含まれていることがあるため、水質検査の行われていない湧水は飲まないほうが無難です。
1.見られる場所/時期
キタキツネは時期を問わず、ひがし北海道各地で見ることができます。車を運転していると突然飛び出してくることもあるので注意が必要。確実にキタキツネを見たい!という人におすすめなのが、北見市留辺蘂町にある「北きつね牧場」。エキノコックス感染症の対策を万全に施した約60匹のキタキツネが自然に近い状態で放し飼いされていて、一年を通して愛くるしい姿を見ることができます。網走バス「網走北見周遊バス」では、網走・北見の観光名所を周りながら北きつね牧場を訪問することができます。手軽に移動したい人にはおすすめのプランです。
網走バス「網走北見周遊バス」
2.ここが見どころ!
キタキツネはすばしっこく、草原や雪原を駆け巡る姿を見ることができます。時には親子連れで毛繕いをしていたり、うたた寝をしている姿を見ることも。夏のキタキツネは毛が少なくシャープな印象ですが、冬にはふわふわの冬毛で全体的に丸い姿になるのが特徴。体に十字模様が刻まれた「十字ギツネ」も生息していて、その遭遇率はなんと1%以下。見つけたあなたはラッキー!
レア度
★☆☆☆☆(かなりの確率で遭遇できるかも)
エゾリス
エゾリス
北海道各地に生息しているのが、愛くるしい姿のエゾリス。体長は22〜27cmほどで比較的大きく、モフモフのしっぽが可愛いと人気です。基本は日中まんべんなく行動していますが、特に日の出ごろから朝方に見られる可能性が大。大自然だけではなく、街中の公園などにも住んでいます。木々の間をすばしっこく走り回るため、木の幹に注目して観察すると見つけやすいかも。冬には寒さから身を守るためさらにふわふわな見た目になり、愛くるしさが倍増します。
1.見られる場所/時期
エゾリスは一年を通してどこでも見ることができます。日の出ごろに活動することが多いので、早起きして朝の散歩で探すのがおすすめ。秋口になると木々の葉が落ち見つけやすくなるのと、クルミを探して走り回るため見つける確率がグッと高くなります。
2.ここが見どころ!
ふさふさのしっぽにピンとたった耳、真っ白なお腹の毛がキュートなエゾリス。秋の時期には冬に食べる木の実を、地面のあちこちに埋める姿を観察することもできます。夏には茶色、冬には灰褐色に変わる毛皮も特徴。雪原を元気いっぱい走り回る様子は、まるで子どものようです。
レア度
★☆☆☆☆(すばしっこいので見つけるのはちょっと大変?)
タンチョウ
タンチョウ
「北海道の鳥」としても指定されているタンチョウは、全長140cn前後の大型のツル。純白の美しい姿と、赤い頭頂部が特徴的です。かつては北海道各地に生息していたものの、北海道開拓や乱獲によって居場所がなくなってしまい一時は絶滅したと考えられていました。しかしその後再発見され、地元有志による献身的な保護活動で現在1,500羽以上にまで増加。特別天然記念物にも指定されている、希少な生き物です。
1.見られる場所/時期
釧路市から車で約50分、釧路湿原に囲まれた鶴居村は毎年タンチョウが冬を越す場所として飛来します。11月から3月の冬の期間には、鶴見台にある給餌場でとうもろこしの餌などを与えるためタンチョウを見られる可能性大。阿寒バスでは釧路駅から鶴見台までのバス往復と、ランチがセットになったお得なプランもあるのでおすすめです。
また、もうひとつの給餌場である鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリにも、毎年300羽近くのタンチョウがやってきます。夏に見たい場合は、釧路市丹頂鶴自然公園がおすすめ。自然により近い環境で、いきいきと暮らしているタンチョウを観察することができます。
鶴見台往復のバス乗車券とどれみふぁ空でのランチセット券
2.ここが見どころ!
なんといってもタンチョウは、立ち姿が非常に美しいツル。雪化粧をした広大な雪原にそっと佇む姿はなんとも幻想的です。群れをなして飛来し、背伸びをしながらゆっくりと歩く姿は時間を忘れて見惚れてしまいます。2月ごろにはタンチョウの求愛行動である、翼を大きく広げたダンスを見ることができるかも?
レア度
★★☆☆☆(場所を選べば遭遇率UP!)
オオワシ・オジロワシ
オオワシ・オジロワシ
冬になるとシベリアから越冬のために渡って北海道にやってくるのが、オオワシ・オジロワシ。翼を広げると2m以上の大きさになり、日本で見られる最大級の猛禽類です。絶滅危惧種にも指定されている希少な鳥で、主食が魚のため海沿いや川沿い、湖などで見かけることができます。冬の時期には様々な場所でオオワシ・オジロワシを見るためのバードウォッチングツアーが開催されているので、ツアーに参加してみるのもおすすめ。
1.見られる場所/時期
水辺が凍り始める10月下旬ごろから北海道に飛来し、3月上旬にはロシアへ飛び立っていきます。飛来のピークは流氷が押し寄せる2月ごろ。水辺の上にある見通しの良い高い木の上で、獲物を狙っていることが多いので狙って探してみましょう。確実にオオワシ・オジロワシをみたい人は羅臼エリアの観光船がおすすめ。保護のために餌を撒いているので、遭遇率はほぼ100%!至近距離でバードウォッチングを楽しむことができます。
2.ここが見どころ!
獲物を狙って大きな羽を広げて水辺へ滑空する姿や、ひがし北海道の雄大な自然を背景に飛び立つ姿は圧巻。時には雪原が広がる牧草地や、凍った湖の上で休んでいる姿を見ることもできます。オオワシ・オジロワシの精悍な顔つきを見たい人は双眼鏡や望遠鏡を使うのがおすすめです。オオワシは鮮やかな黄色の大きなくちばしで羽は白と黒のはっきりとした配色、オジロワシは少し薄い黄色で小さなくちばしが特徴。
レア度
★★☆☆☆(ツアーに参加すると高確率で遭遇可能!)
シマエナガ
シマエナガ
北海道の雪の妖精としても有名な鳥・シマエナガ。体長は約10〜14cmほどで、日本最小級の鳥です。常に5〜10羽ほどの群れで生活していて、まるでコットンのような白い体に丸い目をした愛くるしい姿で子どもたちにも大人気。主食は樹液や小さな木の実・昆虫で、普段は林や森の中にいることが多い動物。日本国内では北海道のみに生息し、自然豊かなひがし北海道では時たまその姿を見ることができます。
1.見られる場所/時期
おすすめのシーズンは12月〜2月の冬の時期。生息地が森の中のため、夏は葉が茂って見つけるのが困難です。木々の多い場所で見ることができ、タイミングが合えば市街地でも見ることができます。シマエナガはすばしっこいので、「チーチー」「ピーピー」という高い鳴き声を頼りに目を向けてみると見つかるかもしれません。
2.ここが見どころ!
なんといっても人気なのが、モフモフとしたキュートな白い体。実は夏と冬で見た目が違い、体が真っ白なのは冬の間だけ。厳寒の冬を乗り越えるため、空気を含んだふわふわの羽毛で覆われているのです。木の枝に止まって首を傾げている様子や、すばしっこく飛び回る様子を見ることができます。各所で行われているバードウォッチングツアーに参加するのもおすすめ。雪深い場所もあるため、スノーシューは忘れずに。
レア度
★★★★☆(小さくすばしっこいので、見つけるのは大変…)
ラッコ
ラッコ
貝殻を石で割って食べるイメージでお馴染みのラッコ。実はこのラッコ、北海道の霧多布岬周辺に数頭が定着していると近年話題になっています。乱獲が進み、一時期は世界でも2,000頭ほどにまで激減したラッコは絶滅危惧種にも指定されている希少な動物。そのラッコが2016年ごろから、3匹ほど霧多布岬に定着し始めたのです。2023年には、4組の母子が確認されていてベビーラッシュが始まっています。その愛くるしい姿から、ラッコを一目見ようと岬を訪れる人も少なくありません。根室半島の先端にある納沙布岬からも、ラッコの姿を見ることができます。
1.見られる場所/時期
ラッコは通年出会うことができ、どのシーズンでも可愛らしい姿を見ることができます。霧多布岬に設置されている、崖の上の遊歩道からラッコを見下ろすことが可能。特におすすめなのは霧のない晴天時や、波が穏やかな時。水面にぷかぷか浮かんでいるラッコをしっかりと眺めたい人は、双眼鏡が必須です。
2.ここが見どころ!
安全な岩礁の上で寄り添って休んでいたり、子どもをお腹の上に乗せてぷかぷかと泳ぐ親子の様子を観察することができます。生まれたての赤ちゃんはふわふわそのもので、ぎゅっと抱きしめて守るお母さんラッコの様子は見ているだけで癒されること間違いなし。ラッコは音に敏感なため、大きな音を出さないよう静かに見守りましょう。
レア度
★★★★★(生息数が少ないため、見つけられたあなたはラッキー!)
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まとめ
今なお手つかずの雄大な自然が広がる、ひがし北海道。この場所だからこそ、自然体のまま暮らしている動物たちに出会うことができます。日常生活では味わえない自然のスケールと、共存している動物たちの息遣いを間近で感じられるのはひがし北海道ならでは。レアな動物に出会ったときの興奮は、記憶に残るものになること間違いありません。さあ、あなたも大自然の中希少な野生動物たちとの出会いを楽しんでみませんか?
ライター情報
奥村 菜依加
奥村菜依加(なえか)
1994年生まれ、北海道北見市出身。道内金融機関に6年間勤務。その後北見市の映像プロダクション・株式会社北映Northern Filmsにチーフマネージャー・ライターとして在籍。2023年退職、コピーライター・取材ライターとして独立。屋号はProduce One。