ひがし北海道の冬の風物詩「流氷」って?
現地民おすすめのスポット・楽しみ方を紹介!
公開日:2024.11.01
オホーツク海から流れてくる流氷
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流氷の基本情報
ひがし北海道が面しているオホーツク海から流れてくる流氷は、冬の北海道でしか見ることのできない自然現象です。冬になるとこの景色を求めて全国から多くの人が訪れます。ロシアから流れてきた厚み50cm近くもある大きな氷が、いくつもひしめき合う姿は一見の価値あり。1月初旬ごろから徐々に沿岸部へと流れ始め、見ごろを迎えるのは2月上旬から3月上旬のほぼ1ヶ月間。この期間には各スポットから流氷観光船に乗って流氷を見に行くことができるようになります。一部のエリアでは、流氷の上を歩いたり遊んだりすることができる流氷の上を歩くガイドツアーを楽しむことも。この季節のひがし北海道は、マイナス20度近くになる極寒の土地。少しでも肌が外気に触れると体感温度が下がるためダウンジャケットや防寒素材のアウターはもちろん、手袋や耳まで隠れる帽子・マフラーなどで冷たい外気が肌にあたらないよう寒さ対策はしっかりと。雪が染み込みにくく、滑り止めがついている靴や暖かい靴下もおすすめです。
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エリア別紹介
1.網走エリア
オホーツクの玄関口・女満別空港から、車で約25分ほどの場所にあるのが網走市。様々な映画やテレビアニメで有名になった「網走監獄」があり、数多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。ここ網走で楽しむことができるのが観光砕氷船「おーろら」。船の上から、オホーツク海に広がる流氷を間近に眺めることができます。
観光砕氷船「おーろら」とは?
海の上に浮かぶ流氷を砕きながら進む観光船。大型船である「おーろら」は氷を砕く際の揺れが少ないため、船酔いしやすい人も安心です。1Fは自由席になっていて、流氷に近い目線で間近で楽しむことができます。指定席の2Fで流氷を砕きながら進む様子を目の前で見たり、展望デッキからどこまでも広がる流氷の迫力を感じたりと楽しみ方はあなた次第。氷の上で休憩するアザラシやオオワシ、陸続きでやってきたキタキツネやエゾシカに出会えることも。2023年に新造船された「小型観光船おーろら3」では、水中ドローンで海の中から映した流氷を船内モニターで楽しむことができます。
運行時期
「おーろら」の運行時期は、通常1月下旬から3月末まで(流氷接岸時期によって変動します)。ベストシーズンは2月上旬から中旬。所要時間は大型船だと1時間、小型船おーろら3は2時間ほどのツアー。道の駅に隣接する「おーろら」乗船場から乗船することができます。
料金・予約方法
大型船の料金は大人(中学生以上)4,500円・小学生2,250円。特別席を利用する場合は別途500円が加算されます。小型船の料金は大人(中学生以上)8,000円・小学生4,000円。ベストシーズンである2月は、数百円上乗せになります。また、当日の支払いは現金のみなので注意が必要。公式ホームページから予約可能です。もちろん当日飛び込みも可能ですが、満員の場合は乗れない可能性もあります。

流氷が一番美しく見える2月には「おーろら」乗船付きの網走バスの「冬の網走まるわかりバス」で観光スポットを回るのがおすすめ。流氷観光砕氷船に乗車したり、アニメで有名になった博物館 網走監獄の見学など、豪華昼食つきのバスガイドつきツアーで冬の網走をまるっと楽しむことができます。
冬の網走まるわかりバス
流氷漂うオホーツク海
2.斜里エリア
網走市から海岸線沿いを車で東へ40分走らせると、見えてくるのが斜里エリアです。漁師町だからこそ食べられる新鮮な海産物や、地元で採れた新鮮な野菜を楽しむことができます。近くには全国的に有名なフォトスポット「天に続く道」があり、冬の時期に訪れると夏とはまた違った神秘的な一面を見ることも。実は斜里エリアは、手軽に流氷を楽しむことができる穴場スポットが多数あるのです。現地民おすすめの知る人ぞ知る鑑賞スポットをご紹介します。
以久科(イクシナ)原生花園
JR知床斜里駅から車で5分ほどのところにある、海岸砂丘に広がる小さな原生公園。駐車場から海岸へと歩いて行くと、海岸線を埋め尽くす流氷を間近で見ることができます。晴れた日には知床半島全体と知床連山も見えることから、フォトスポットとしても。地元民だからこそ知る穴場スポットのため比較的観光客が少なく、静かに流氷の美しさを味わいたい人におすすめです。
フレトイ展望台
網走市と斜里町の間、小清水町にある穴場スポットです。JR浜小清水駅から徒歩5分ほどにあり、小高い丘の上にあるピラミッド型の大きな建物がフレトイ展望台。壮大な知床連山と海を多い尽くす流氷を楽しむことができます。展望台の中にある螺旋階段を登っていくと、望遠鏡が設置されている展望デッキもあります。
止別海岸治山の森・遊歩道
JR浜小清水駅から斜里町に向かって進んでいくと現れるのが、JR止別駅。道路から100mほどのところにある遊歩道を5分ほど歩いていくと、突然視界が開けて壮大な見晴台へとたどり着きます。見晴台から海岸まで降りることもでき、流氷をどこよりも間近で眺めることができる穴場スポットです。近すぎるが故に流氷に触れたり乗ってみたいと思うかもしれませんが、そこはグッと我慢を。流氷は思わぬ速度で動いたり割れたりするため、非常に危険です。また、除雪がほとんどされていないためスノーシューやストックなどの準備は万全に。時期によってはガイドツアーが開催されていることもあるので、事前にネットでチェックしておくのがおすすめです。
流氷とオオワシ
3.ウトロ・羅臼エリア
斜里市街地を抜け、車で東へ向かうこと約40分。知床半島西岸のオホーツク海に面した場所がウトロエリア、そのちょうど裏側に位置するのが羅臼エリアです。世界自然遺産にも登録されている知床の大自然と、オホーツク海を埋め尽くす流氷のコラボを楽しむことができます。ここでしか体験できないアクティビティが豊富にあり、毎年多くの観光客が訪れる人気のエリアです。
流氷クルーズ
羅臼エリアは知床半島をぐるっと回って流氷が流れ込んでくるため、ウトロエリアに比べて流氷の密度が低いのが特徴。そのためここで乗ることができるのは氷を砕きながら進む砕氷船ではなく、まるで漁船のような流氷観光船です。漁師の経験があるベテラン船長が、流氷の間を縫うように進むクルージングはここでしか味わえない体験。氷の間にあるプランクトンや魚を食べようと、様々な野生動物が集まるのも羅臼エリアの特徴です。氷の上で休んでいる天然記念物であるアザラシや、オオワシなどに高確率で出会うことができます。
流氷の上を歩くガイドツアー
知床半島に堰き止められた流氷が高密度でひしめくウトロエリアでは、流氷の上を歩くことができる流氷の上を歩くガイドツアーを唯一楽しむことができます。海を知り尽くした地元ガイドの指導のもと、特殊なドライスーツを着用。流氷の上を歩いたり、ジャンプして氷に飛び移ったりとアクティブな体験をすることができます。氷と氷の間を泳ぐクリオネを探してみたり、野生動物を探してみたり、映える写真を撮影してみたりと楽しみ方は無限大。各種ツアー会社の公式サイトから予約可能です。身長や体重が適正範囲外の場合や、担当ガイドが難しいと判断した場合は参加できない場合もあります。
※危険なのでガイドと一緒でないと流氷の上に乗る事は出来ません。単独では決して乗らないようにしてください。
シンラ 流氷ウォーク®
カラフルでかわいいドライスーツを着て専門のガイドと一緒に神秘的な流氷に触れたり乗ったり。そんな北極圏のような現象や光景を体感するウトロならではのアクティビティです。
LANTOKO 流氷遊ウォーク
地元漁師と流氷の上で楽しく遊ぼう!知床の海にいちばん詳しい地元の漁師と台湾出身・知床唯一の中国語ガイドが流氷の上をご案内します。一緒に流氷の上で歩いたり、ジャンプしましょう!
流氷カヤック
流氷の海を漕ぎ進む、シーカヤック体験もおすすめ。流氷が徐々に少なくなっていく3月から、およそ3週間だけ開催されているアクティビティです。ドライスーツを着用しシーカヤックに乗り込んだら、流氷はもうすぐそこ。静寂に包まれた中で、流氷が軋む音を聞きながら壮大な景色を楽しむことができます。ツアーガイドも同行するため、初心者でも安心。こちらもツアー会社の公式サイトから予約可能です。ツアー中はトイレにいくことができないのでご注意を。
斜里・ウトロ・羅臼エリアは特集記事「世界自然遺産・知床へ!温泉や観光スポット、グルメも紹介!」もおすすめ!人気の観光スポットや宿泊施設、グルメなどをチェックすることができます。
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アクセス
おすすめのアクセス方法はこちら。
※アクセス方法は一例です。
女満別空港からウトロエリア
1.レンタカー/車
国道334号線を海沿いに東へ走行
(約1時間30分〜2時間)
2.バス
知床エアポートライナーに乗車、ウトロ温泉バスターミナルで降車
(約2時間/3,500円)
3.JR
女満別空港からバスで網走駅まで移動、JR釧網線乗車
知床斜里駅で斜里バスに乗り換え、ウトロ温泉バスターミナルで降車
(約3時間半/2,620円)
釧路からウトロエリア
1.レンタカー/車
阿寒湖、弟子屈を経由し国道391号・道道1115号・国道334号を走行
(約2時間半)
2.バス
釧路駅前ターミナルから阿寒バス「釧路知床号」乗車、
道の駅うとろシリエトク降車
(観光含む約10時間/6,000円)
3.JR
釧路駅前からJR釧網本線〔しれとこ摩周号〕 網走行乗車、知床斜里駅降車
斜里バスに乗り換え、ウトロ温泉バスターミナルで降車
(約5時間半/5,680円)
流氷をまるっと楽しめる、おすすめのモデルコースについて詳しくは「 冬のひがし北海道周遊(流氷コース) 4泊5日 (網走2泊、ウトロ2泊) 」をぜひご参照ください。流氷観光の参考になること間違いなし!
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まとめ
日本中で流氷に出会うことができるのはここ、ひがし北海道だけ。厳寒の冬がもたらす神秘的な風景を楽しむことができます。眺めるだけじゃもったいない!せっかくなら、エリアによって体験できる、オリジナルのアクティビティも一緒に楽しんでしまいましょう。観光プランや訪れるタイミングによって、楽しみ方は無限大。さあ、あなたはどんな流氷の姿と出会うことができるでしょうか?
ライター情報
奥村 菜依加
奥村菜依加(なえか)
1994年生まれ、北海道北見市出身。道内金融機関に6年間勤務。その後北見市の映像プロダクション・株式会社北映Northern Filmsにチーフマネージャー・ライターとして在籍。2023年退職、コピーライター・取材ライターとして独立。屋号はProduce One。